空き家は仲介売却よりも業者買取がおすすめ?違い・メリットを徹底解説

空き家は仲介売却よりも業者買取がおすすめ?違い・メリットを徹底解説不動産売却の基礎知識
執筆者
切塗よしを

きりぬりよしを:ライター、小説家/政令指定市の行政マンとして都市計画法関連業務に従事、建築主事、建築専門学校非常勤講師の経験を有する/大阪文学学校賞、滋賀文学祭小説部門特選/ことの葉行政書士事務所代表
【保有資格】特定行政書士、既存住宅状況調査技術者(インスペクター)、建築基準適合判定資格者、終活カウンセラー、著作権相談員

空き家を売却するとしたら、どんな方法を選択するのが最善なのでしょうか。一般的な売却方法は不動産会社による仲介売却ですが、最近は業者買取による売却も増えています。それぞれの売却方法の違いとメリットを探っていきましょう。

空き家の売却をとりまく状況

空き家の数は年々増加する傾向にあります。総務省の土地統計調査によると、2013年の空き家数は820万戸でした。これは5年前に比べ63万戸、比率に換算すると8.3%増加している値です。

しかし、空き家が増える一方で、全住宅流通量に占める中古住宅の流通シェアは約14.7%に過ぎません。これは欧米諸国と比べると1/6~1/5程度の低い水準です。

欧米に比べて流通が少ない理由

欧米諸国の中古住宅の流通率は、70%~90%とされており、新築住宅よりも、むしろ中古住宅の方が高いシェアを占めているのが大きな特徴です。

このような大きな違いが生じる理由のひとつには、木造が中心の日本と石造が中心の欧米という建物の構造の違いが挙げられます。しかしそれ以上に、日本人の中に新築住宅の方が中古住宅よりも価値が高いという、いわゆる「新築神話」が根付いているのが大きな要素となっています。

さらに、中古住宅へ対する信頼性が欠如しているという点も、流通を妨げる要因となっています。中古住宅は、何かしらの欠陥を抱えているのではないかという猜疑心が国民の間に深く根付いているのです。

空き家の売却を促進する施策

この状況を打開するために、現在、国では中古住宅市場の活性化を推進しています。その具体的な施策のひとつが宅地建物取引業法の改正です。2018年4月1日に施行された改正法においては、宅地建物取引業者は、インスペクション(建物状況調査)を実施する者を斡旋するか、しないかを説明する義務が課せられるようになりました。

インスペクションとは建築の専門家が建物の基礎・外壁の劣化具合や雨漏りの有無を目視や計測によって調査するものです。

今後、中古住宅の売買において、インスペクションの活用が活発化されることになれば、購入希望者が安心して購入を決められるため、空き家の売却が促進されるのではないかと大いに期待されています。

空き家の仲介売却とは

仲介売却とは、空き家などの不動産の売却を不動産会社に依頼するもので、最も一般的な取引方法です。この仲介売却がどのような仕組みで行われているのか紹介していきます。

空き家の仲介売却の流れ

空き家の売却に際しては、まず不動産会社に査定を依頼します。可能であれば複数の不動産会社に依頼した方が、販売力のある不動産会社に出会える確率が高くなります。

査定額、販売力、接客態度などから仲介売却を依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を締結します。媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類の形態があります。それぞれの媒介契約の特徴をみていきましょう。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は、不動産売却に際して特定の不動産会社に媒介を依頼するものです。他の不動産会社とは一切媒介契約を結ぶことはできません。

不動産会社は成約に向けて積極的に売却活動をすることが義務付けられており、不動産情報をレインズ(不動産流通標準情報システム)に登録しなければいけません。業務処理の状況も1週間に1度のペースで報告する必要があります。

一方で売主は自らの手で買主を見つけることができません。

専任媒介契約

専任媒介契約も特定の不動産会社と媒介契約を結び、他の不動産会社と媒介契約を締結することはできません。積極的な売却活動をする義務は、専属専任媒介契約と同様ですが、売主に対する業務処理の状況報告のペースが、専属専任媒介契約よりも緩くなります。売主自らが買主を見つけることは可能です。

一般媒介契約

一般媒介契約は、物件売却に際して、複数の不動産会社に媒介依頼ができるものです。しかし成約に関して不動産会社に課せられた義務はないためレインズの登録は期待できません。また売却に際して仲介契約の締結が確約されていないため、広告を配布するなどの積極的な売却活動が行われることはありません。

不動産仲介手数料とは

不動産取引においては、依頼者は売買が成立した時点で不動産会社に仲介手数料を支払います。手数料の上限は下記の表のように定められています。上限とはいえ、ほとんどの不動産取引は、この額を仲介手数料としています。

成約価格(税抜)仲介料率
400万円超3%×(1+消費税率)
200万円超~400万円以下4%×(1+消費税率)
200万円以下5%×(1+消費税率)

空き家が400万円以上で売却されたときは、②と③の値は固定値になるため「成約価格×3%+6万円+消費税額」という簡易計算式で算出することができます。

しかし、空き家は安価な価格で成約することもあり、必ずしも簡易計算式が活用できるわけではありません。たとえば300万円で成約した場合、消費税率が8%だとすると次の計算式によって算出されます。

200万円以下に対して……200万円×5%×(1+8%)=108,000円

200万円超から300万円以下に対して……100万円×4%×(1+8%)=43,200円

108,000円+43,200円=151,200円

これにより仲介手数料は、151,200円になることが分かります。

空き家を仲介売却するメリット

空き家を仲介売却する場合、次のようなメリットがあります。

  • 専属専任媒介契約や専任媒介契約の場合、広告の掲載など積極的に売却活動をおこなってくれるので、買主が見つかりやすい。
  • 相場に近い価格で売却できる。……業者買取よりも高い価格で売却できます。
  • 買主と直接交渉する必要がなく、専門的な判断も不動産会社に委ねることができる。

空き家を仲介売却するデメリット

それでは反対に空き家を仲介売却した場合のデメリットを挙げてみましょう。

  • いつ売れるのかが確約できない。……最悪の場合何年も売れない状態が続くこともあり得ます。
  • 仲介手数料が必要。
  • いつまでも売れない場合、売却価格を減額せざるを得なくなる。
  • 近隣の人々に売却していることを知られてしまう。
  • 住宅ローンが借りられない等の理由で、契約直前で話が白紙に戻ることがある。
  • 売却後に買主から瑕疵担保責任を問われることがある。

仲介売却に適した空き家とは

それではどんな空き家が仲介売却に適しているのでしょうか。仲介売却の利点は、市場の相場に近い価格で売却できることにあります。しかし一方でいつ買主が現れるのか判然としません。特に地方の空き家の場合、かなりの長期戦を覚悟する必要があります。

そのため現金を当面必要としない状況にあり、空き家の管理も定期的に行うことが可能であれば、仲介売却が適した空き家だといえます。

空き家の業者買取とは

空き家の業者買取とは、空き家を専門の買取業者に直接売却する方法です。買取業者は、空き家をリフォームすることで価値を高めて再販売を行います。なお、業者買取は戸建てだけでなく中古マンションの1室が空室となった場合でも行ってもらえます。

空き家の業者買取の流れ

空き家の業者買取は次のような流れで進められます。

  1. 売却の相談
  2. 買取業者が空家調査
  3. 買取金額の提示、交渉成立
  4. スケジュールの打ち合わせ
  5. 契約、代金の授受
  6. 引渡し

買い取られた空き家はどうなるのか

買い取られた空き家は、買い取り業者が再販売に向けた戦略に沿ってリフォームを進めます。買主のニーズを読み取って、水回りを根本から再構築したり、美装をしたりすることによって新しい価値を生み出すのです。また、状況によっては更地にした状態で売り出すこともあります。

さらにはリフォームにあまり費用をかけないで、賃貸物件として活用することがあります。地方都市には様々なニーズがあるため、賃貸住宅やセカンドハウスばかりでなく芸術家のアトリエや工房として活用されている例もあります。

空き家を業者買取にした場合のメリット

空き家を業者買取にした場合、次のようなメリットがあります。

  • すぐに現金を手に入れることができる。
  • 周囲の人に売却していることを知られることなく売却ができる。
  • 仲介手数料が不要である。
  • 契約直前のトラブルがない……仲介売却の場合、契約直前になって住宅ローンの融資が受けられない、敷地境界が確定していないなどの理由で契約が白紙に戻ることがあります。
  • 売却後にクレームを受けることがない。

空き家を業者買取にした場合のデメリット

それでは反対に空き家を業者買取にした場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか。最大のデメリットは、売却額が仲介売却よりも安くなることです。買取業者も空き家に手を加えたうえで利益を生み出す必要がありますから、やむを得ないところです。仲介売却の不動産会社が提示する価格の50%~80%程度になることが多いので、価格の折り合いが大きなポイントになります。

業者買取に適した空き家とは

それではどんな要件を持ち合わせた空き家が業者買取に適しているのでしょうか。いくつかありますので順にみていきましょう。

空き家が遠方にある

空き家が自分の居住地から遠く離れている場合、不動産会社の仲介契約や売買契約などのたびに足を運ぶ必要があります。また空き家がなかなか売れない場合は、維持管理のために年に何度かは現地に足を運ぶことになります。こうした手間や時間を省きたいのであれば、業者買取が適しています。

早い段階で現金が必要

仲介売却は、いくら不動産査定が高かったとしても、実際に不動産売買が行われないことには現金を手にすることができません。業者買取の場合、早ければ契約から3日後には現金が振り込まれることもあります。

空き家の所有者が複数人いる

相続不動産などで空き家の所有者が複数人いる場合、仲介売却をするためには全員の同意が必要になります。このため意思決定を図るまでに労力を要して、結局は暗礁に乗り上げることがあります。業者買取は、売却金額がはっきりとしてから共有者に売却の提案ができるため、同意が得られやすい環境が整います。

空き家の所有者が高齢である

空き家になる理由は、所有者が死亡した場合だけに限りません。所有者が施設に入居したことで空き家になることがあります。所有者が自分の存命中に空き家を処分したいと考えている場合は、早い段階で売却ができる業者買取が適しています。

空き家の敷地が広大である

国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」によると、宅建業の免許を有さない者が、反復継続的に土地を売却することはできないとされています。このため、空き家の敷地が広大であっても、何度かに分けて切り売りをすることができません。個人で広大な敷地をまとめて一度に購入する人は、ほとんどいないと考えられるため、一括で購入してくれる買い取り業者への売却が適しているといえます。

特殊な事情のある空き家である

事故物件であったり、敷地境界確定が暗礁に乗り上げていたりなど、一般の個人の買手が付きにくい物件は、そうした事情を十分に把握したうえで購入してくれる業者買取が適しています。

また構造的に致命的な欠陥を抱える物件なども、たとえ仲介売却ができたとしても後にクレームがつく可能性が高いため、業者買取が適しています。

まとめ

ここまで、空き家を売却する場合の仲介売却と業者買取の違いとメリットについて説明をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

売却方法は、それぞれにメリットとデメリットがあります。空き家を売却するに際しては、最も重点を置いている事柄が何であるのか、じっくりと整理したうえで、最善の売却方法を選択してください。

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