住宅ローンが払えないとどうなる?滞納時の流れと競売・任意売却について解説

不動産売却手続き
執筆者
逆瀬川勇造

明治学院大学卒。地方銀行勤務後、転職した住宅会社では営業部長としてお客様の住宅新築や土地仕入れ、広告運用など幅広く従事しました。2018年よりP.D.Pを設立。WEBを通して不動産に関する問題解決を目指します。
保有資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)、住宅ローンアドバイザー、相続管理士

住宅ローンは数十年にわたり返済しなければならないもので、今は大丈夫でも将来払えなくなってしまう可能性があります。

また、今現在、住宅ローンが払えず、もしくは払えなくなりそうで困っているという方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、住宅ローンが払えなくなった方に向けて、住宅ローン滞納後の流れや競売、任意売却について解説していきます。

目次
  1. 住宅ローンを滞納するとどうなる?
    1. 住宅に設定されている抵当権の効果
    2. 最終的には差し押さえられ競売にかけられる
    3. 競売の前に任意売却という選択もできる
  2. 住宅ローンを滞納した後の具体的な流れ
    1. 1~3カ月目:催告書・督促状が届く
    2. 3~6カ月目:個人信用情報に事故記録が載る
    3. 6~7カ月目:期限の利益喪失~ローンの一括支払い請求
    4. 7~9カ月目:保証会社から代位弁済通知書が届く
    5. 9~10カ月目:担保不動産競売開始決定通知
    6. 10~16カ月目:競売入札通知書
  3. 任意売却のタイミングとメリット
    1. 任意売却とは
    2. 任意売却のタイミング
    3. 任意売却のメリット
  4. 任意売却の流れ
    1. 催告書や督促状が届く
    2. 金融機関や任意売却の専門家に相談する
    3. 不動産の価格査定
    4. 金融機関との交渉
    5. 不動産の売却活動
    6. 引越し~売買代金の清算
  5. 住宅ローンを払えない理由とは
    1. 収入減を理由とした滞納
    2. 支出増を理由とした滞納
  6. 住宅ロ―ンを払えなくなった方の体験談
    1. 定年退職で住宅ローンを払えなくなった体験談
    2. うつ病を発症してしまい収入減となってしまった体験談
  7. 住宅ローンを支払えなくなったら早めに行動しよう
    1. 金融機関にリスケに応じてもらえたら競売も任売もなしで済ませられる
    2. 競売より任意売却の方がメリットが大きいが、任売には期限がある
    3. 早めに動けば住み替えで対応できる可能性もある
  8. まとめ

住宅ローンを滞納するとどうなる?

住宅ローンの毎月の返済が少しずつ厳しくなり、ついに滞納してしまった場合はどうなるのでしょうか?

住宅に設定されている抵当権の効果

住宅ローンを組むと、対象の住宅に対して抵当権を設定します。抵当権とは簡単に言うと「不動産を差し押さえられる権利」です。

住宅ローンを融資する金融機関は、貸したお金は絶対に回収しなければなりません。

そのため、いざ住宅ローンが滞納されると抵当権を行使して不動産を売却し、売却代金で住宅ローンの残債を回収するのです。

最終的には差し押さえられ競売にかけられる

住宅ローンを滞納すると住宅が差し押さえられる旨をお伝えしましたが、住宅ローンを滞納してすぐに差し押さえられるわけではありません。

途中、数回の催告があり、それでも滞納が続くようであればいくつかの手続きを経て、最終的には競売にかけられることになります。

競売の前に任意売却という選択もできる

住宅ローンの滞納が起こってから競売にかけられるまでには半年~1年程度かかるのが一般的です。

この間、住宅ローンの滞納者はただ競売を待つだけではなく、任意売却という方法で不動産の売却を進めることができます。

なお、住宅ローンを滞納する前に売却してしまえばよいじゃないかと言えばその通りなのですが、それができないことがあります。

というのも、住宅ローンを組んで購入した住宅を売却するためには「住宅ローンを完済する」必要があり、その資金を用意できなければそもそも売却できないからです。

その点、任意売却は、住宅の売却代金で住宅ローンの完済資金を用意できない場合でも、金融機関と相談しながら売却を進められる売却方法となっています。

住宅ローンを滞納した後の具体的な流れ

ここで、住宅ローンを滞納してしまった後の具体的な流れを確認していきましょう。

1~3カ月目:催告書・督促状が届く

住宅ローンを滞納すると、まず金融機関から電話滞納していることを示す通知書が届きます。

それでも住宅ローンを返済せずにいると、返済の催告書督促状来店依頼状が届くようになります。

3~6カ月目:個人信用情報に事故記録が載る

催告書や督促状が届いても返済しないでいると、個人信用情報に事故記録が掲載されるようになります。

個人信用情報に事故記録が掲載されると、クレジットカードやマイカーローンなどの審査に通らなくなってしまいます。

なお、何カ月目で事故記録が載るかについては金融機関によって異なりますが、通常は3カ月程度で登録されます。

6~7カ月目:期限の利益喪失~ローンの一括支払い請求

催告書や督促状が届いても無視を続けていると、「期限の利益を喪失」した旨を示す通知が届きます。

期限の利益とは返済日(期限)が設定されていることの利益、つまり返済日がくるまでは返済しなくてもよいという権利のことです。

ローンを滞納したことで期限の利益を喪失し、「いますぐローンの残債を一括返済」しなければならなくなります。

7~9カ月目:保証会社から代位弁済通知書が届く

期限の利益喪失後、保証会社から代位弁済通知書が届きます。

代位弁済とはあなたの代わりにローンを支払う、ということで、保証会社が金融機関に対し、住宅ローンの残債を完済したことを示す通知書です。

代位弁済通知書が届いた後は、金融機関にではなく、保証会社に残債を返済しなければなりません。

9~10カ月目:担保不動産競売開始決定通知

代位弁済された後は、保証会社が残債を回収するために裁判所に対して競売を申し立てます。

競売が受理されると、あなた宛てに担保不動産競売開始決定通知が送られてきます。

10~16カ月目:競売入札通知書

競売が決定されると裁判所による現地調査が行われ、競売入札が開始されます。入札の結果、落札者が決定すると、裁判所から売却決定の通知がなされます。売却が決定すると、元の所有者は立ち退きする必要があります。

以上が住宅ローン滞納から競売までの流れになります。

実際には、債権者である金融機関やその保証会社がどのように動くかによって多少前後することがありますが、おおむね上記のような期間で手続きが進められていきます。

任意売却のタイミングとメリット

住宅ローン滞納から競売までの間に、競売の代わりに任意売却という方法で不動産を売却することができます。

任意売却は住宅ローン滞納後どのタイミングで行うことができ、また競売と比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。

任意売却とは

ここで改めて任意売却について簡単にご紹介します。任意売却は住宅ローン滞納後、競売までの間に選択できる売却方法です。

競売は通常の売却よりかなり安い価格での売却となることが多く、競売後は多額のローンが残ってしまうのが一般的です。しかし、任意売却は通常の売却と同じ方法で売却を進めることができ、通常の売却と同程度の価格での売却が可能です。

住宅を失うことに変わりはありませんが、住宅売却後のローン残債に大きな差がでます

任意売却のタイミング

任意売却はいつできるかというと、「住宅ローンを滞納してから競売入札が開始されるまで」です。

競売入札が開始されると、裁判所からその通知が送られてくるため、その通知が送られてきたらもう任意売却することはできません。

ただし、この「競争入札が開始されるまで」の間に「売却を完了させておく」必要があります。

つまり、住宅の売却査定や見学希望者の案内、売買契約、ローン審査といった一連の流れを住宅ローン滞納から競売入札開始までの間に済ませなければなりません。

住宅ローンを滞納し、その後も返済の目処が立たないようであれば、できるだけ早い段階で任意売却に舵を切るべきだと言えます。

任意売却のメリット

競売と比べ、任意売却にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

競売より高く売却できる

まず、任意売却は競売より高く売却できるのが一般的です。

先述の通り、任意売却には競売入札開始までに売却しなければならないという期限がありますが、基本的には通常の不動産売却と同じ方法で売却を進めることができます。

住宅を高く売却できれば、売却後のローン残債を減らすことができ、売却後の返済計画が楽になります。

周囲に事情を知られず売却できる

競売の情報は誰でも閲覧できるため、住宅ローンを滞納して住宅を差し押さえられたことを近所の人や知人に知られてしまう可能性があります。

一方、任意売却であれば、競売が開始するまでに売却してしまえば周囲に事情を知られずに売却することもできます。

金融機関との交渉次第で条件をよくできる

任意売却は、基本的に債権者である金融機関と交渉して条件を決めていきます。

例えば、任意売却後、なお残債がある場合に、その残債の返済方法については債務者と金融機関とで話し合って決めます。

また、任意売却成立後は引越しをする必要がありますが、住宅ローンを滞納しているくらいですからお金に困っていることが多いでしょう。任意売却の場合、金融機関との交渉次第で、最高30万円まで売却代金から引越し費用を融通してもらうことができます。

競売の場合、上記のように引越し費用を融通してもらうようなことはできない他、引越し日が決められており、決められた日までに家を出なければなりません。この点についても、任意売却であれば金融機関や買主との交渉次第で引っ越し日を話し合って決めることができます。

任意売却の流れ

ここで改めて、任意売却の流れを見てみましょう。

催告書や督促状が届く

住宅ローンを滞納すると債権者(金融機関)から電話が来たり、催告書や督促状が送られてきたりします。

金融機関や任意売却の専門家に相談する

上記、催告書や案内状が届いたら、できるだけ早い段階で金融機関や任意売却の専門家に任意売却の相談をしてみましょう。

人に聞かれたくない時は、専門業者であればメールや個室での相談などプライバシーに拝領した対応をしてくれるはずです。

不動産の価格査定

相談後、任意売却の進める方向が決まったら、不動産会社による価格査定が行われます。この辺りの流れについては、通常の不動産売却によるものと同じです。

ただし、任意売却には期限があるため、売却が間に合わないということのないよう適切に査定する必要があります。

金融機関との交渉

不動産の価格査定後、提案内容に納得したら任意売却業者と媒介契約を締結します。

媒介契約後には、任意売却業者が金融機関と交渉を行います。

不動産の売却活動

金融機関との交渉後、不動産の売却活動が行われます。

こちらも、基本的には通常の方法による不動産売却と同じ流れです。

つまり、売却活動(広告活動や案内活動)を行い、買主が見つかり、価格交渉が済んだら売買契約を締結し、買主がローンの承認を得られたら決済~引き渡しとなります。

引越し~売買代金の清算

買主のローン審査が承認され、ローンの実行日が決まったら、その日までに引っ越しを済ませる必要があります。

この時、金融機関との交渉次第で最大30万円まで引越し費用を融通してもらうことができます。

住宅ローンを払えない理由とは

ところで、住宅ローンの滞納者はどのような理由で滞納してしまうのでしょうか?

本記事をご覧になられている方の中にも、今は大丈夫でも将来住宅ローンの返済が厳しくなるようなことが起こりうるかもしれません。

そうならないよう、どのような時に住宅ローンを滞納してしまいやすくなるのか確認しておきましょう。

収入減を理由とした滞納

まずは病気により働けなくなったり、減給転職離婚などにより収入が減ってしまったりした場合に住宅ローンを支払えなくなることがあります。

これらはいずれも事前に完全に防止することが難しいと言えます。

対応策としては、いざ収入が減ったとしても住宅ローンを返済していけるだけの貯蓄を作っておくことが挙げられます。

少なくとも半年分程度、可能であれば2年程度以上は住宅ローン用の口座を作って資金を貯めておくとよいでしょう。

支出増を理由とした滞納

一方、収入は変わらずとも支出が増えたことでローンの返済が厳しくなり、最終的に滞納してしまうことがあります。

支出増についても、前述の貯蓄を貯めていくことで対処できますが、「身の丈にあった生活」ができているのか、家計を見直して支出を減らすことも考えましょう。

住宅ロ―ンを払えなくなった方の体験談

ここで、実際に住宅ローンを払えなくなってしまった方の体験談をご紹介します。

定年退職で住宅ローンを払えなくなった体験談

Aさんは35歳の時に35年の住宅ローンを組んだものの、会社の規定により57歳で定年退職が決まり、その後、同じ会社に再就職したものの収入は激減。

住宅ローンが支払えなくなってしまいました。

借りた時は退職金でローンを完済できるつもりでしたが、実際には想定したよりも大幅に減額された支給額で、退職金による住宅ローンの完済はかないませんでした。

最終的に、ローンを滞納してしまい任意売却を選択。

折角購入したマイホームを失っただけでなくローンの返済を残したまま老後の厳しい生活を送っていかなければならなくなりました。

うつ病を発症してしまい収入減となってしまった体験談

Bさんは30歳の時に5,000万円の住宅ローンを組んでマンションを購入。

購入時は会社に勢いもあり、順調に給料も伸びていたのですが、管理職に昇進したことで残業代がつかなくなり、返済がやや苦しくなりました。その後、管理職になったことで様々なストレスに悩まされるようになり、ついにはうつ病を発症。

これには、無理な額の住宅ローンを借りたことによる金銭的なストレスもあったのではないかと考えています。

うつ病発症後、会社は求職せざるをえなくなり、傷病手当金は支給されるもののローンの支払いをしながら家族を養っていくだけの収入には程遠いものでした。このままだと状況は悪くなる一方だと思い、妻と相談しながら最終的には任意売却を選択。

今では家族と一緒に新しいスタートを切っています。

住宅ローンを支払えなくなったら早めに行動しよう

病気や転職による収入減や教育費の負担増で支出が増えたりして、住宅ローンを滞納したり、将来的に滞納しそうな状態になったりした場合には、できるだけ早めに解決に向けて行動を開始することが大切です。

金融機関にリスケに応じてもらえたら競売も任売もなしで済ませられる

任意売却は住宅ローン滞納後しかできません。

一方で、住宅を売却するには住宅ローンの残債を完済する必要があり、住宅の売却代金で残債を完済できない場合には差額を現金で用意する必要があります。

こうした制度の問題もあり、住宅ローンの返済が厳しくなると「任意売却か競売かいずれかの選択をしなければならない」のですが、銀行によっては滞納前に相談することでリスケに応じてくれ、返済額を調整してくれる場合があります。

基本的に、金融機関もローンを借りた人には競売や任意売却でなく、返済していってもらいたいと考えています。

住宅ローンの返済が厳しいと感じたら、早い段階で相談してみるとよいでしょう。

競売より任意売却の方がメリットが大きいが、任売には期限がある

いざ住宅ローンを滞納してしまうと後は競売か任意売却かを選ぶしかありません。

基本的にはほとんどの面で競売より任意売却を選んだ方がメリットが大きいので任意売却を選ぶべきだと言えます。

ただし、任意売却には競売入札が開始されるまでという期限があるため、できるだけ早いタイミングで任意売却に向けて動く必要があります。

早めに動けば住み替えで対応できる可能性もある

住宅ローンを滞納するもっと前の段階で返済が厳しいことに気付けば、賃料の安い賃貸に引っ越したり、ローン借入額を安く抑えられる物件を購入したりして対応することも可能です。

特に後者の場合、「売却代金で元の住宅ローンを完済できない」場合でも、新しく購入する物件を担保に足りない資金を融資してくれる(オーバーローン)ローンもあります。

いずれにせよ、ローンの滞納を軽いことと考えず、気づいた段階でできるだけ早く行動することで、状況を少しでもよくできる可能性が高いと言えるでしょう。

まとめ

住宅ローンを滞納してしまった後の競売までの流れや任意売却の流れ、メリット、住宅ローンを払えない人によくある理由や、体験談などお伝えしました。

住宅ローンは数十年にもわたる借入で、その間には何が起こるか分かりません。

今は大丈夫でも将来住宅ローンを滞納してしまう可能性は誰にでも起こり得ると言えるでしょう。

そうなってしまった時に慌ててしまわないよう、本記事に目を通しておくと共に、いざそうなってしまった方はできるだけ早く解決に向けた行動を起こすことをおすすめします。

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